症例報告

症例報告

【ご注意】以下のページには手術中の写真が含まれています。あらかじめご了承の上お進みいただけますようお願い申し上げます。

猫の副腎腫瘍

2024.05.25
◆猫 10歳10カ月 去勢オス 4.96㎏
◆稟告 昨日から急に歩けなくなる。体温低下。食欲廃絶。

◆検査
血液検査 :高血糖(600㎎/dl以上)・高プロジェステロン血症・高アルドステロン血症(後述)
尿検査  :高濃度尿糖検出
超音波検査:腫大した左副腎を確認

  

◆診断
左副腎腫瘍(糖尿病併発)

◆外科治療
手術のよる副腎腫瘍摘出


◆内科治療
インスリン注射による血糖値コントロール(術後約3週間で離脱)

◆ホルモン値推移


雄猫プロジェステロン基準値 0.5ng/ml以下
猫アルドステロン基準値   34~206pg/ml

◆診断
副腎皮質腺癌

◆経過
術後10日間ほど食欲廃絶が続くも徐々に回復。
高血糖についてはインスリン注射で対応も約3週間で正常化しインスリンが不要となる。
その後全ての治療を終了し体調は比較的良好。現在、経過観察中。

◆考察
猫の副腎腫瘍は稀な疾患で、腫瘍化した細胞群の由来により様々な内分泌疾患を併発します。
この症例は性ホルモンの著しい上昇の為、インスリンが機能しなくなり糖尿病を併発していました。
手術時は後腹膜下出血および癒着も認められ、経過には注意が必要ですが、良い予後を期待します。