症例報告

症例報告

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犬の短頭腫症候群

2019.03.04
6歳6か月令 フレンチブルドッグ
稟告/呼吸困難

短頭腫症候群とは
短頭種気道症候群とは、短頭種(ブルドッグ、ボストンテリア、パグ、シーズー、ペキニーズなど)によく認められ、鼻孔の狭窄、軟口蓋の過長、などにより、気道が狭くなってしまう疾患です。
症状としては、呼吸の雑音、睡眠時の無呼吸、チアノーゼなどあります。
治療方法としては、軽度の場合は減量が有効な場合もありますが、重度の場合は、原因除去のための複合手術(狭窄性鼻孔の切除、過長した軟口蓋の切除)が必要となります。

○症状
重度のいびき。食後の激しいえづき。
鼻呼吸は一切出来ず、強い運動不耐(動くことを極度に嫌がる)。
代償性多血症(酸素の取り込みが正常に行えないため、代償的に血液濃度が濃くなる血液の異常)。

○手術
・鎮静および麻酔時における呼吸の管理を特に慎重に行い、以下の手術を実施した。
(1)軟口蓋過長に対して
過長した軟口蓋を牽引し、半導体レーザーで切除し、縫合した。
(2)鼻孔狭窄に対して
鼻鏡を構成する背外側鼻軟骨をメスで切除し、縫合した。

○経過
いびきは消失。とにかく元気がでて、散歩も喜んで行くようになった。
手術前は、顎を枕の様な物の上に乗せ、伏せ姿勢で眠っていた。
オーナーは症状と気づかず可愛い行動と思っていた。
手術後は鼻呼吸が可能になり自由な姿勢で眠れるようになった。
多血症(血液濃度64%)も正常化(54%に改善)。

短頭腫症候群