症例報告

症例報告

【ご注意】以下のページには手術中の写真が含まれています。あらかじめご了承の上お進みいただけますようお願い申し上げます。

門脈シャント

2024.06.22
◆チワワ 6歳3ヶ月 避妊メス 2.54㎏
◆稟告 削痩傾向/活発でない

◆検査
血液検査・X線検査・超音波検査で門脈シャントを疑う。
  
◆確定診断
CT検査(キャミックに依頼)で門脈シャントを確認

門脈および門脈枝(ピンク矢印)は確認できるが非常に細い。
逆に本来存在しないシャント血管(緑矢印)は非常に太い。
消化管静脈血のほとんどはシャント血管に流入するため、肝臓での解毒代謝を受けることが出来ない。
放置すると発作(肝性脳症)や肝硬変等の重度な肝機能障害を発症し、生死に関わる病態に進行する。

◆治療
外科手術によるシャント血管の閉鎖

この症例はハイリスクと判断し、3月と6月の2回に分けて手術をしました。
1回目の手術でシャント血管をある程度狭窄させて肝内門脈枝の成長を促しました。
2回目の手術でシャント血管を完全閉鎖しました。

◆術後モニター
血液検査BTR(アミノ酸分析)により肝機能を評価します。

X線写真により肝臓のサイズを評価します(黄色矢印が肝臓)



◆経過と考察
術前に認めた尿の色調異常や腎結石も改善し、元気に過ごしております。
門脈シャントは特徴的な症状を示さず、成長と共に緩徐に進行します。
日々の生活の質にも関わるので、出来るだけ早期発見・早期治療に努めたいものです。