2024.06.14
◆猫(ミヌエット) 5歳7カ月 去勢オス 5.18㎏
◆稟告 急性の食欲廃絶・嘔吐・ふらつき・低体温
◆検査
【血液検査】急性腎不全を示唆
【超音波検査】右腎の尿産生機能は以前から消失していると思われる。膀胱は正常。
【X線検査】異常なし(尿管結石は確認出来ず)。
◆腎瘻チューブ設置術(入院当日の緊急手術)
閉塞性急性腎不全は緊急疾患です。
尿の排泄経路を確保するため、左腎(黄色矢印)にカテーテルを直接設置します。
尿はカテーテルを介して、体外(水色矢印)に排泄されます。
4日後、腎機能の改善が確認されました。
◆SUBシステム設置術(入院4日目の人工尿管置換術)
人工尿管を腎臓(赤矢印)と膀胱(青矢印)につなげます。 円盤型のポートは閉塞・感染が起きた時に使います。
◆経過
術後1カ月の血液検査。腎機能は正常値を維持。
◆考察
水腎化した右腎の経緯を鑑みると、左腎尿管も何らかの原因で閉塞したと考えられます。
明かな尿管結石が確認できれば、結石摘出術の適応となりますが、この症例の様に原因不明の尿管閉塞にはSUBシステム(人工尿管置換術)が有効です。
今回、発症後比較的短期間で手術が行えたので、腎機能は正常レベルに回復してくれました。
現在は食事療法(シュウ酸カルシウム対策)のみ継続し、元気にしています。