膝蓋骨動揺症(内外側両方脱臼)
2021.03.06
◆トイプードル 16歳7か月 避妊メス
◆稟告 左後肢挙上
◆検査
X線検査にて膝蓋骨の外方脱臼を確認
ちなみに、1年前に右後肢も同様の病態に陥り、今回と同じ手術を済ませているためスクリューが入っています
◆手術
内方脱臼を阻止するため「縫工筋前部の離断」「外側関節包の縫縮」
外方脱臼を阻止するため「骨スクリューの設置」
両方脱臼を阻止するため「滑車溝の造溝」
上記、術式を組み合わせて、手術をしました。
◆経過
膝蓋骨の外方脱臼は患肢を完全に使わなくなり、手術が唯一の治療法 となります。
経験的には、トイプードルに好発し、グレードⅢの内方脱臼(常時脱臼)を放置した結果、
中年齢以降で発症する傾向を認めます。
小型犬は体重が軽いので、膝蓋骨が脱臼したままでも一見普通に歩行しているように見えますが、
膝関節への負担は、決して軽いものではありません。
今回の様な外方脱臼は比較的まれですが、前十字靭帯断裂などはしばしば散見されます。
グレードⅢ以上の膝蓋骨内方脱臼は、やはり手術適応と考えます。